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神吉 宇一(かみよし ういち)[編者・1章]

 

「1章 日本語教育学の体系化をめざして(1)―日本語教育学に関する議論の推移と社会的役割について―」

 

日本語教育学をめぐる議論の変遷について、1990年代と2000年代の先行研究のレビューから、の議論に大きな違いがあることを指摘します。1990年代の日本語教育学に関する議論は、主として「日本語」と「日本語の教育」に関する議論であり、日本語教育学の内部の議論をしています。一方で、2000年代の議論は、社会学や心理学等の学際的な知見を踏まえたうえで日本語教育学の位置づけを再定位する、日本語教育学の外側とのつながりを議論していることと、2000年代の議論の背景にはポストモダニズムの影響が色濃いことを指摘します。そして、日本語教育学の個別研究を進めていくうえで、日本語教育学の学問的・社会的な基盤となる「地」を常に意識することの必要性を主張するとともに、レビューを通して日本語教育学に携わる人々が、だいたい同じ方向を向いて研究を進めると同時に、日本語教育学が社会的貢献を行っていく必要性を論じます。

(本書「はじめに」より)

 

長崎外国語大学 外国語学部 特別任用講師

大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。修士 (言語文化学)。

小学校教員、政府系財団職員をはじめ、広告代理店、葬儀業、打上花火業、自動販売機冷温切り替え作業など、正規・非正規30以上の職を経験し、2013年9月より現職。前職の一般財団法人海外産業人材育成協会 (HIDA) でアジア人財資金構想事業やEPA看護師・介護福祉士育成事業等に従事。以来、日本語教育の「外部」との連携をどう構築するかに興味を持つ。アイデンティティはラテン系西日本人。主な著書に『NAFL日本語教師養成講座 世界と日本』 (アルク, 共著)、『内容重視の批判的言語教育』 (ココ出版, 近刊, 共編著) がある。

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