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栁田 直美(やなぎだ なおみ)[3章]

 

「3章 教育実践を「知」にむすぶ」

 

学習の分析とデザインの現状と課題を論じます。

まず、知識本の貢献として、「教育実践とそれに関する研究の往還」と「社会的文脈における日本語教育研究」という2つの課題を指摘したことを挙げています。そして、その2つの課題に対して、近年の教育実践に関する研究がどのように応えているかを概観します。そのうえで、近年の主要な学術誌に掲載されている日本語教育研究では、教育実践に関するものが少ないことと、既存の理論を応用・検証している段階で、教育実践の実態から新たな理論構築を行うには至っていないことを指摘しています。さらに、教育実践に関する今後の課題として、さまざまな社会的文脈における教育実践を描き出すこと、学習者だけでなく母語話者も含めた学習のデザインを視野に入れることを主張しています。

(本書「はじめに」より)

 

一橋大学 国際教育センター 専任講師 

筑波大学大学院修士課程地域研究研究科修了。博士 (言語学)。

2013年より現職。主な論文に「非母語話者との接触場面において母語話者の情報やり方略に接触経験が及ぼす影響―母語話者への日本語教育支援を目指して―」『日本語教育』145号, pp.49-60 (第6回林大記念論文賞受賞)、主な著書に『接触場面における母語話者のコミュニケーション方略―情報やりとり方略の学習に着目して―』 (ココ出版, 2015) がある。大学在学中、地域日本語教室で学習者に言われた「先生の日本語はわかるけど、会社の人の日本語はぜんぜんわからない」という一言をきっかけに、接触場面における日本人側の言語的調整に関心を持った。外国人だけでなく日本人、日本語教師だけでなく一般の日本人も含めて、ともに会話を構築する方略について研究を行っている。

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