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三代 純平(みよ じゅんぺい)[4章]

 

「4章 『ことば』『文化』、そして『教育』を問い直す」

 

言語教育と文化について論じます。

まず、1990年代以降、日本語教育学において文化が議論されるようになった経緯を述べます。その上で、知識本の貢献として、「ことば」「文化」「教育」とは何かという問いについて、従来の本質主義とは異なる視点から論じることで、以後10年の日本語教育の「課題のメニュー表」を提示したこと。また、文化の多様な議論が日本語教育自体の再構築の議論につながったことを指摘します。一方で、文化とは何かという議論が減少したこと、ポストモダンを背景とした実践のあり方が共有されていないことなどを課題として挙げます。

さらに、近年のビジネス日本語教育への注目が文化の本質主義に逆戻りする危険性を持つ反面、ポストモダンの文化観から言語教育を捉え直すきっかけになる可能性も指摘します。そして、現在の社会を見据えて、どのような言語教育実践を行う必要があるのかを批判的に問い直しつつ、その形を共有していく必要性を主張します。

(本書「はじめに」より)

 

武蔵野美術大学 造形学部 専任講師

早稲田大学大学院日本語教育研究科博士課程修了。博士( 日本語教育学)。

仁川外国語高校、徳山大学などを経て、2013年より現職。韓国の高校での教育経験から、社会的文脈に根差した実践研究の必要性を実感。また高校の教え子の日本留学生活を応援しているうちにライフストーリー研究をするように。最近は、ライフストーリー研究の知見を反映した実践研究を模索中。主な著書に『実践研究は何をめざすか―日本語教育における実践研究の意味と可能性―』 (ココ出版,2014, 共編著)、『日本語教育学としてのライフストーリー―語りを聞き、書くということ―』( くろしお出版, 近刊, 編著)がある

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